ビタミンD情報　最新版　

歯科口腔領域におけるビタミンDについての情報は院内に掲示しています。全身についてはどんな関連性が報告されているのか、２０２３年８月に出された論文からトピックを書き出してみます。

1. ビタミンD、特に免疫系と慢性疾患への影響に関しては、過去20年間に大きな進歩があった。
2. ビタミンDと25(OH)Dの循環状態を定常状態に保つ最善の方法は、毎日定期的に日光浴をすること、および/または毎日サプリメントを摂取することである。
   
3. ビタミンDの欠乏は、感染症に対する脆弱性を高め、全身の炎症を亢進させ、疾患や感染症のリスクを増大させ、慢性疾患を悪化させる。
4. ビタミンDは身体システム、特に免疫系、筋骨格系、心血管系、肺系、神経系、消化器系、腎系に多面的な影響を及ぼす。
5. ビタミンDの欠乏は、全般的な免疫力を著しく低下させるため、代謝障害や感染症を含む疾病のリスクを増大させる。
6. ビタミンDは頑健な免疫系を維持し、COVID-19を含む感染症の克服を助け、自己免疫を予防する
7. 血清25(OH)D濃度は、代謝異常、肥満、がん、感染症、全死亡などの慢性疾患で低下する。
8. 呼吸器感染症におけるビタミンD補充に関するRCTの別のメタアナリシスでは、ビタミンDは間欠投与よりも連日投与の方が治療として最も効果的であると報告されている。
9. 慢性疾患は、長期にわたるビタミンD欠乏もあって高齢者に最も多くみられ 、死亡率の上昇と関連している。
10. 母乳のみで育てられた乳児はビタミンD欠乏症を示すことが知られており、これは授乳中の乳児にビタミンDを滴下することで容易に改善可能である。
11. 低ビタミンD状態は免疫細胞を活性化しないため、相対的な免疫麻痺と反応の遅延を引き起こす。そのため、特に細菌（結核など）やCOVID-19などの呼吸器系ウイルスに対する脆弱性が高まる。
12. 重度のビタミンD欠乏とサイトカインストーム（制御不能な過剰な免疫状態によって引き起こされる炎症亢進状態）との間には強い相関がある。
13. ビタミンDはCOVID-19の感染を防ぐことはできないが、症候性疾患、合併症、死亡を減少させる
14. ビタミンDはより広い範囲に有益な効果をもたらすが、万能ではない。
15. 例えば、細菌感染症では、抗生物質のような一次的な医薬品に加えて、免疫系を自然に高めるための支持療法としてビタミンDを使用すべきである。
16. 地域社会におけるビタミンDの充足は、社会的弱者、特に高齢者や肌の色の濃い少数民族、施設入所者を守る鍵となる。
17. COVID-19の場合、重度のビタミンD欠乏症の患者は、主に免疫系が弱いため、合併症や死亡に最も罹りやすい。
18. 安全な日光浴、ビタミンDの補給は1日の入院費の0.01％以下のコストで、医療費を大幅に削減する
19. 予防的な使用とは別に、ビタミンDは他の主要な医薬品や、細菌感染における抗生物質の使用など、最善・最適な治療法やアプローチとの補助療法として使用されるべきである。

全文のリンクはこちら↓（オープンアクセス：英語）

ビタミンD不足による慢性疾患と急性感染症の抑制
Wimalawansa SJ. Controlling Chronic Diseases and Acute Infections with Vitamin D Sufficiency. Nutrients. 2023 Aug 18;15(16):3623. doi: 10.3390/nu15163623. PMID: 37630813; PMCID: PMC10459179.

日本語版全文は待合室に置いてます。なければスタッフが読んでいるかもしれませんので、お声がけください。

尚、血液検査（自費　2,200円　税込）にてご自分のビタミンD濃度を測定出来るようにしています。是非ご活用ください。※診療を行わない血液検査のみの実施は行っておりません。