大事なのは終わった後だった! むし歯体質改善への道 その3
投稿日:2017年6月19日
カテゴリ:予防歯科
前回は 子供をむし歯にさせないための妊娠前からの対策について書きました。
むし歯体質改善の道その3に進みましょう。
口の中には共生していても問題を起こさない菌がいます。
いわゆる善玉菌です。(いわゆるというのは、細菌からみると善も悪もないという意味を表します)
たとえば、上記の善玉菌がしっかりと口の中を守ってくれていれば
問題はないわけです。
前回、前々回に書きましたがミュータンス菌というむし歯(う蝕)の原因菌がいます。
この菌は全ての人の口の中に必ずいる菌ではありません。
また、人によって菌の数や全体に対する比率が異なります。
ミュータンス菌の特徴は歯の表面にのみ生息(定着)することであり、
もの凄くネバネバした粘着物質を出して歯にくっつきます。
さらに悪いことにこのネバネバは唾液で流れません。
歯が生えてきた時もしくは、
歯の表面を徹底的に掃除をする(バイオフィルム除去)と唾液由来の膜ができます。
こんな感じです。
数分の間ですが、
このレセプターにくっつける菌のみが歯の表面で椅子取りゲームを始めます。
もし問題を起こさない善玉菌がしっかりと歯の表面にくっついてくれたら(定着)、
むし歯(う蝕症)にはなりにくいということになります。
このように0.1%以下しかう蝕菌(ミュータンス菌)が検出されない方の歯の表面は
おそらくこのような菌の構成になっていることでしょう。
この方の場合は、歯の溝にも善玉菌が定着している可能性が高いので、
シーラントという治療をしなくても十分に歯は守られるでしょう。
では、リスクが高い方の場合はどうなるかといいますと、
う蝕菌の数と比率が多いので、歯の表面の場所取りがこのようになるでしょう。
ミュータンス菌は特殊な代謝を行なう菌です。
う蝕細菌にかぎらず口の中の菌は次のような代謝をしています。
ちょっと難しくなりそうですが、ここで読むのを止めないで下さいね。
ここでおわかりいただきたいことは砂糖が入ると特殊な状態に変化するということです。
これに砂糖が加わると、特殊モードに突入します。
細菌のバランスが特殊になります。
う蝕細菌は代謝量がアップし、成長し数を増やします。
代謝したら何を出すか、ご存知ですか?
乳酸という酸を出します。
これは歯を溶かすのに十分な酸性です。
ここから、さらに特殊バランスモードに突入しますよ!
酸性度が高まると、酸性環境でしか生きられない菌が生き残ります!
それがミュータンス菌です。
酸性度が高くなり、さらに砂糖の供給があると細菌の塊の中は
酸性ストレスが上がります。
ラクトバチラス菌などの酸性を好む菌が増えます。
さらに、ミュータンス菌は酸性の中でしか生きられない特長をもつタイプが増えます。
(適応しやすい表現型をもったものが選択的に増えます)
スミマセン。ちょっと難しくなり過ぎましたね。
ここまでついてきて下さりありがとうございます。
結局ポイントは、コレです。
砂糖の供給は、口の中の菌を撹乱(かくらん)させますよ!
特にミュータンス菌比率が多いと危険ですよ!
ということです。
そして、砂糖の供給でもっとも大事なポイントは、
摂取量ではなく摂取頻度です!
この摂取頻度という考えはとても大切です。
絶対に忘れないで下さい!
じゃあ、ちょっとだけなら大丈夫か!
とお考えになる方がいらっしゃいますので、
それについては次回にしたいと思います。
次回につづく
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