たまにあるケース その4 原因不明の腫れ
原因不明の腫れというと、難病をイメージされるかもしれませんが、
原因がわからず腫れている状態の方です。
X線写真では異常が見られず、突然腫れてきたとのこと。
以前よりなんとなく不調があるということはおっしゃっていました。
しかし、原因の特定には至らなかったので治療ができなかったのです。
今回は腫れてきたのでようやく患部が特定でき治療となりました。
かぶせものを外して、銀歯の内面を見ています。
なんとなく黒っぽくなっていますね。
バクテリアが繁殖していましたよ!のサインです。
歯の中の補強材を外します。
以前のむし歯がかなり深かったことが伺えます。
中をきれいにしていくとなんとなく見えてきました、アレが!
見えますか?
拡大して見てみましょう。
ウーン、まだなんとなくよくわかりませんね。
もう少しキレイにしていきましょう。
はっきりと見えてきましたネ!
アレです。
ひびが入っています。
神経が入っている空間がバクテリアで汚染された原因は、
このひびが最も怪しいと考えられます。
ひびは一応、途中で止まっているようです。
一応というのは、この部分を樹脂で封鎖して補強して咬む力が再び加わってきたときに、再び割れる可能性があるのです。
通法に従って、歯内療法を進めます。
ありますね、アレが!
よく見逃されるという4本目の根の入口です。
ひとまず今回の治療のゴールは腫れをなくすことです。
今後、この歯を使っていくにはハードルがいくつかあります。
まず、相手の歯の力に耐えられるのか。
再び割れないのか?
実は、この方反対側の奥歯を失われています。
さらにこの歯の後ろの歯(7番目)も失っています。
そして骨格も筋肉(骨)が太いタイプです。
その状態でゴルフをされます。
つまり、通常よりも過酷な状態で使わなければいけないということになります。
逆に言えば、そういう状態で使われてきたから割れたともいえます。
負担を軽減するための処置をされても割れる可能性が残っています。
さらに、この歯が失われたとしたら他の歯に負担がかかり
同じ運命をたどる可能性が大きくなるでしょう。
このようなドミノ倒しのように口の中は力によって崩壊していくことを
咬合崩壊と読んでいます。
滅多にこのようなことはありませんが、
原因不明というよりも必ず原因があって結果があるということですネ。