セラミック治療のよくある例 その37 変色した歯をカバーするケース
歯の色が黒ずんでいて、気になるという方。
たしかに1本だけなんとなく暗い感じがします。
咬む側から見てみますと、樹脂が詰めてあります。
こういう状態って結構割れることがありますので、補強もしておきたいところです。
歯が割れたら、割れ方によっては抜歯を余儀なくされることがありますので、
万全な状態にしておく方が無難です。
遠目から見てますと、つけねが特に黒ずんでいます。
レントゲンでは内部の異常はなさそうでしたが、
中を探ってみると・・・・
細菌(バクテリア)が繁殖した部分が一部に見られました。
樹脂をつめていても内部に漏洩していたようです。
中の密閉剤を丁寧に外していきます。
しかし、先の方はなかなか取れない。
高倍率で確認すると残っているのがよく見えます。
2回ほど治療を行い、密閉し(今回はMTAという特殊セメントを使用)、
変色を漂白する治療を行いました。
多少の変色は改善したものの、
やはり当初の予定通り、セラミックでカバーするしかなさそうです。
つけねの部分の黒ずみは少しは減りましたが。
削ります。
だいぶ黒いようです。
仮歯をつけてみて変色のマスキング度合いを確認しています。
大丈夫なようです。
ただ、ちょっと歯肉から深い部分に際(キワ)の高さを設定しています。
出来上がったセラミックを接着しました。
マスキングはうまくいったようです。
同時に補強もかねられています。
治療の前後で見てましょう。
やはり、1本の歯の色が与える影響は絶大ですね。
1本だけ変色していると、バラバラ感が強調されます。
歯ならびも同じで、1本だけ曲がっていたりねじれてたりすると、
統一感が得られないんです。
美術館にいって、一枚だけ額が曲がっていたら現代美術じゃない限り気になりますよね。
歯は顔のパーツであり、
スマイルのパーツです。
銀歯が入ると一気にスマイルのレベルが下がります。
なぜ、銀歯を選んだのですか?と真顔で不思議そうに選択の理由を聞かれるかもしれません。
変色歯や銀歯が無意識にコンプレックスになっていると
スマイル時の口元が歪みます。
人生で素敵な笑顔をする回数は限られているのに、
魅力が減った状態だと非常にもったいないのです。
日本人の口元に対する美意識が少しでも国際的に通用する方向に
向かえばいいなと歯科医師の立場から思います。