セラミック治療のよくある例 その26 銀歯の下にもむし歯があったケース
銀歯と歯の境い目にすきまが見つかり、
先手をうってやり変えをすることになりました。
こういうギャップがあった場合、中でむし歯が広がって行くのは時間の問題であり、
場合によっては亀裂が大きくなり歯にダメージを与えることが多くあります。
(過去の例をご参照ください)
銀歯を外したところです。
それほど悪いようには見えませんが・・・
少しずつ表面をきれいにしていくと・・・
硬いはずの歯が、もろくてザクザクしている場所がありました。
さわるだけでボロっととれてきます。
この状態では接着は上手くいきませんし、
構造上咬む力に耐えられません。
もし、このまま使っていたら応力の集中が起こり、
歯に亀裂が入り、その結果として歯が割れるという事態になりかねません。
歯が割れたら、どうなるでしょうか?
亀裂には細菌(バクテリア)が繁殖し、
そこのバクテリアを除去することは困難です。
さらに割れた歯を接着剤で止めることも難しく、
仮にできたとしても負荷に耐えられるかどうかという問題がつきまといます。
この歯の場合、
通常ここまでけずってあれば歯内療法が必要になるという部分まですでに削った跡がありました。
歯内療法が必要になると考えラバーダムを装着しましたが、
根管口は閉鎖しており、8倍以上の拡大視野で探っても見えませんでした。
もともとの症状はありませんし、感染が広がったようなX線所見もありませんので、
樹脂で封鎖しています。
前回と同様に、歯が残っている量がしっかりと確保されていましたので、
グラスファイバーは不要です。
このグラスファイバーの補強がいるかいらないかという指標ですが、
私の場合はEuropean Academy of Esthetic Dentistryという団体の学術誌を参考にしています。
接着に関しては日本が世界をリードしていますので、
今後は日本保存学会のガイドラインも使えるかと思いますが、
ガイドライン作成時の政治的な裏話を聞いてしまったのであまりあてにしてません。。。
余談が過ぎました。
一部、歯肉よりも深い部分にキワがきていましたので、
際立たせるための糸を2種類いれて型を取りました。
こういう場合、スキャンは無理です。
数日後、作ってきたセラミックを接着します。
これで、完成です。
毎回のことですが、接着操作をステップ毎にいかにしっかりと行うかが鍵です。
拡大視野で治療を行うと、接着を阻害するものがよく見えます。
5倍の拡大視野では不足します(自分の場合)。
せめて最低で8倍は欲しいと思います。