たまにあるケース その1 穿孔封鎖
年に1回あるかないかのごくたまにあるケースです。
歯ぐきがふくらんで腫れている!ということで来院されました。
たしかに、腫れているようです。
それもかぶせものに近い部分です。
歯の根の問題であれば、こういう場所が腫れることはなかなかありません。
歯周病の問題でもなさそうです。
X線でみるとどうやら歯の股の部分がおかしいようです。
金属を外して、内部を探ります。
歯の内部に詰め物がされており、その周りに血がにじんでいました。
そのつめものをそーっと外していきます。
外した直後からどろっとした膿みが出てきました。
どうやらこの場所に細菌が繁殖して膿みが溜まり、行き場をなくして腫れていた様子です。
きれいに洗浄します。
出血が止まったので、特殊なセメントを詰めました。
穴があいたのはおそらくこの歯の治療をした歯科医師が誤って空けてしまったのでしょう。
これを医療過誤だ!というのは早急すぎます。
なぜなら、保険の給付の範囲内での歯内療法は適正価格の1/6〜1/10で行われているとされています。
また、あまりにも安すぎる費用設定のため、ラバーダム防湿がスタンダード化されず、
肉眼での治療をできるだけ短時間で行っているというのが平均的な歯科医院にある姿のようです。
この方の場合は、穴を塞ぐのに最も適した素材(MTAセメント)を使わせていただけたので幸いでした。
一週間後、腫れは引いています。
これで経過をみてかぶせ直しです。
ちなみに、穿孔封鎖(穴を封鎖する処置)の治療を保険の範囲内で希望されると、
非常に困ってしまいます。。。
今のところ、日本でも同じようなものは手に入るのですが、
若干問題があり、その改良型を個人輸入して使っています。
ちなみに、MTAセメントでお願いします!と素材指定で受診するのは
ちょっと違うと思いまして、
そのようなものを常備しているかどうかをお尋ねになるとか、
しっかりとラバーダムを使っているかどうかとか、
拡大視野で作業をしているかが見極めの鍵になると思います。