たまにあるケース その2 直接覆髄(神経温存処置)
たまにあるケースです。
歯がしみるということで来院され、深いむし歯が発見されました。
上の奥歯の外がわに大きなむし歯(う窩)があります。
入口の大きさから推定すると、中での広がりはこれぐらいあると予測して治療します。
早速、軟化した部分をとっていきますと中から出血してきました。
出血したということは、中の神経や血管が露出しましたよということです。
さあ、大変です。
ここで大きな分かれ道が来ます。
神経を温存するか、
神経を抜くか。
今回は、条件が整ったので神経を温存する処置をすることになりました。
MTAセメントを使い封鎖していきます。
今のところ、漏洩を防ぐにはこの素材を使うことがお勧めです。
MTAセメントの上を別の素材で封鎖して経過をみます。
一連の流れはこんな感じです。
さあ、これで神経を温存するためのできる限りの処置は行いました。
翌日の状態では、しみるのはおさまっているとのことです。
あとは4ヶ月ほど経過をみて問題なければセラミックによる接着最終修復に入ります。
もし、ここで神経を取る処置をしていたら次のようなことを抱え込む可能性があります。
・複雑な根の形をしていて、治療が難しい。そのため再治療を繰り返す可能性がある。
・根にひびが入り割れる可能性がある
・割れた場合は抜歯になり、着脱式義歯やインプラントを視野にいれないといけなくなる
温存できるものは温存したいですよね。
しかし、すでに強い症状が出ている場合は手遅れで、この治療はできません。
手遅れになってからの来院をお勧めしないのはこのような理由があるのです。
先手を打つのでしたら、定期的な健診とメインテナンスが欠かせません。
もし、何も手入れをしていなければ、歯がなくなるまで問題が起こり続けるでしょう。
いえ、歯がなくなってからも人工物が壊れるなどの問題を抱え込みます。
何が賢明なのかよーくお考えくださいネ!
今のところ、MTAセメントは保険給付されませんので自費治療になりますが、
できる限り歯を温存する治療を選択されることをお勧めしています。