セラミック治療のよくある例 その11 銀歯のそばにむし歯ができたケース
下の一番うしろのおく歯になにやら欠けた場所があるという方。
ここは口の中でもいちばんハードな場所です。
一部欠けてむし歯ができています。
欠けたまわりにはひびやざらざらといった摩耗の跡があります。
銀歯はまだ外れてきていませんが、
中でむし歯が広がるのは時間の問題です。
銀歯を外します。
歯をラバーダムというシートでカバーしています。
削る金属は12%パラジウム合金(保険治療で標準に使われるもの)です。
切削した粉による金属アレルギ—予防を目的にカバーしています。
このちょっとした配慮がとても重要なんですが、
あまり使われていないのがラバーダムです。
ラバーダムをしてくれる歯科医院は良心的ですから、
見つけたら離さないようにしてくださいね。
金属の粉がこれだけ出ます。
よくわからないので、
もう少し拡大してみるとこんな感じです。
矢印の部分にはむし歯があります。
ちなみになんですが、
こういう状況で金属アレルギ—の疑いのある症状が出たとしたら、
その検査には保険が使えません。
保険で治療した銀歯が引き起こす金属アレルギー検査の精密検査に保険が使えないということです。
なんというパラドックスなんでしょう。
さて、むし歯を取っていきましょう。
少しずつ金属の下地の素材を外していきます。
下地が分厚いので、以前のむし歯が深かったことがわかります。
この辺りにむし歯があります。
歯と歯の間の部分も、亀裂があることがおおいので要注意です。
今回は大丈夫なようです。
確認のために器具で表面をひっかくと、まだまだむし歯が残っています。
下地の下の部分にもありました。
ここまで30分ぐらいかかっています。
予約の時間を1時間いただいていますので、
焦ることなく、雑になることもなく順調にきれいにしていきます。
表面を樹脂でコーテイングしました。
ちょっと一部薄すぎる場所がありますので、
強度を保てるように、一部削り直します。
これで型どり(口の中でスキャン)をして、セラミックを作成し、接着していきます。
まずはセラミックを乗せてみますとこんな感じです。
特に問題ないようです。
接着操作に入ります。
手前の歯を養生して・・・
接着を阻害するもの(唾液タンパクなど)をきれいに清掃し、
表面処理を所定の時間で行い、
呼気の湿度コントロールを行いながら、進めます。
所定の位置に合わせて・・・
浮き上がらないように・・・
しっかりと押さえます。
あふれた接着材を取り除き、
光で接着材を固めています。
光は発熱に気をつけて当てすぎないような配慮が必要です。
接着直後のバリがある状態です。
バリを取り除き、かみ合わせを調整し、仕上げるとこんな感じです。
ここまで30分(2日目)ほどかかっています。
接着剤の取り残しには要注意です。
8倍の拡大視野にて確認します。
え? 肉眼ですか?
医学的に0.1mmまでしか肉眼では識別できないことがわかっているそうです。
肉眼でも見えるからやってますという方は人類の進化系かもしれません。
歯と歯の間です。
しっかりと封鎖ができており、
歯と歯の間には取り残しがない状態です。
歯のべろ側にバリが残っていました!
取ります。
はい、これで完了です。
一つ一つのステップをしっかりと拡大視野で見ながら、
着実に行うというのがコツです。
前後で比較してみましょう。
今回は二日間連日で来ていただき、
仮の期間を最小にすることができました。
歯は咀嚼器官です。
エナメル質を失ってしまった場合は銀歯で置き換えるのではなく、
セラミックで置き換えるというのが世界標準治療です。
銀歯は日本独自の代替金属であり、ガラパゴス金属です。
銀歯を選択される場合は、
銀歯のすきまに問題が起こり歯を痛める可能性があることを
十分にご理解いただいた上で
治療を受けられることをお勧めします。
セラミック治療は自由診療(自費診療)です。
そのため歯科医師が自由に最善の選択をすることができます。
これまで提示しているように手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を用いて
歯を拡大し、
最善と考えられる素材を使い、
余裕をもった時間 の中で行うのが自由診療です。
同じ内容を保険診療で行うのは制限がありすぎて無理です。
スミマセン。。。
肉眼で同じことやれっていわれてもできません。
これまたスミマセン。。。
結局一番伝えたいことは、
歯の治療が必要にならないように大事にして頂きたいということです!
そのための先手の打ち方は主治医にお聞き下さい。