インプラント治療例 その1 下あごの奥歯
60代女性の方です。
奥歯をなくされて、通常の保険適用の部分入れ歯を他院にて作られたそうです。
しかし、
「合わないので使っていない」
「もう少し噛める方法はないか」
ということでインプラント治療の相談を行いました。
お体の問題はありませんでしたので、
インプラント治療を行うかどうかを含め、「良くかめるようにするには?」ということを念頭において、詳しく調べることになりました。
下あごも、片方3本の奥歯を失われています。
歯がたをとって横から見てみますと
(前歯以外の)ご自分の歯どうしで当たる所が、2カ所しか存在しません。
また、相手の歯とあたっていない歯は、少し位置が飛び出して変わっています。
この歯の位置の補正も必要になりそうです。
まずは、歯がたを改造してみます。
赤いワックスで歯がないところに歯を作り、
補正が必要なところは補正しています。
しっかりと使える歯はそのままお使いになることを前提に、
下あごは「インプラント治療」、
上あごの歯がないところは
「薄いタイプの丈夫な着脱式の入れ歯」という計画を立てました。
それから、CT撮影をします。
その準備としてCTに映り込むマウスピースを作ります。
正確な位置にインプラントを配置するために必要です。
↓少し顎の骨のボリュームが不足していることが、CTを撮影する前に分ります。
CT撮影をすると、
このような画像が得られます
骨の形、異物の有無、血管や神経などの危険部位等をしっかりと検査します。
インプラント手術の綿密な計画を立てます。
この手術計画の立案は、国際インプラント組織のガイドラインに基づいて作成します。(日本にはガイドラインが存在しておりません)
以上の分析を行うことで、
インプラント処置の安全性、リスク、 疼痛、腫れ、噛めるようになるまでの 期間予測、長期安定性予測をたてることが可能になりますので、お伝えします。
治療計画表は以下のような表となります。
保証や免責事項についてのご説明も行います。
ここまでがインプラント診査診断です。
ご納得された場合には、処置のタイミングを相談いたします。
実際の処置の様子です。
予定された通りに処置を行い、治りを待ちます。
8週間後(約2ヶ月)、型取りを行い歯を作成して、ようやく完成です。
上あごも予定通り「薄いタイプの壊れにくい義歯」を作成いたしました。
R様、本当にお疲れさまでした。
治療後の感想をいただきました。
「長期間にわたり治療ありがとうございました。
インプラントは入れた時から自分の歯同様で、ある事を
忘れる位です。上の歯は、薄い金属の入れ歯にしたのですが、
入れ歯にしては、違和感が少ないように思われます。
他の歯の治療も、かみ合わせもぴったりで、嬉しく思っています。ありがとうございました。」
R様は、現在治療後3年目に突入しております。
継続してご自分の歯とインプラントのメインテナンスに通われています。
今後も長期にわたって安定した状態が保てる可能性が非常に高いと思います。
以上が長期安定性(長期成功)を考慮した国際規格に基づくインプラント治療の立案例です。
インプラント治療はこのように行うことで、非常に有益な結果を得る事ができます。
一方で、途中のプロセスのどこかに問題が生じると、
それをリカバリーする力をもっていない術者の場合、
大きな問題に発展することがあります。
的確な診査/診断/治療技術と、
問題が起こった時の真摯な姿勢が大切だと考えております。
噛み合わせ、咀嚼、義歯の不具合等でお困りの場合は、
どうぞご相談下さい。